ASDの方がわかりやすい指示の出し方とは
ASD(自閉スペクトラム症)の方は曖昧な指示や話の内容を理解することが苦手です。
例えば、「あと少ししたら片付けますよ」の『あと少し』とか、「ちょっと待ってね」の『ちょっと』のように、具体的にどのくらいなのか推測しづらい場合です。
たいていの人は、場の状況を見て、「あと5分でチャイムが鳴るから『あと少し』は数分だな」とか、「お母さんは今夕飯の支度をしているから『ちょっと』は野菜を切り終わるまでだな」と、なんとなく推測し、自分を納得させます。
しかしASDの方にはそれが少々難しいようです。
ASDでなくても、人によって『少し』『ちょっと』『普通』『ゆっくり』『早く』などの時間的感覚や価値観は違うものですが、それでも相手の言いたいことや言葉に含まれた意味を感じ取り理解しますよね。
私もつい口にしてしまいますが、子どもに対する「早くしなさい!」は親の口癖みたいなものだと思います。まさにこの言葉こそASDの子にとってピンとこない言葉ナンバーワン(?)ではないでしょうか。
『早く』ってどのくらい? 今すぐ? 5分? 30分後?
ぜひ具体的な数字や事柄を示してあげてください。 できれば納得できる理由を添えて。
- 「8時にAちゃんが迎えに来るよ。今7時55分だからあと5分で支度を終わらせて玄関をでるよ」
- 「授業が終わるまであと10分です。次は給食の準備があるのであと3分したら片付けを始めますよ」
- 「お母さんは今ジャガイモを切っているからそれが終わるまで待っていてね」
このように、特にASDの方には、具体性を持って声掛けをすると良いです。
もちろん、ASDでなくても、先の見通しがつきづらい子や不安感の強い子にも、具体的な声掛けは有効なので、普段から意識して使っていきたいですね。